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川口浩探検隊「双頭の巨大怪蛇ゴーグ」は真実?タイ人に聞いた結果

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川口浩探検隊「双頭の巨大怪蛇ゴーグ」は真実?タイ人に聞いた結果

雨季に入ったため、バンコクのあちこちで巨大なニシキヘビやミズオオトカゲが家や店舗に入ってきて捕獲されるという出来事が相次いでいます。タイのヘビといえば、皆様は「川口浩探検隊」あるいは「藤岡弘、探検隊」を覚えていますか?
「川口浩探検隊」は70~80年代に、テレビ朝日系列で放送されたTV番組です。
俳優・川口浩が率いる探検隊が、世界各地の秘境に猛獣や未確認生物などを探しにいくというドキュメンタリー風バラエティーです。探検隊がジャングルの坂を進んでいると、突然、巨大な岩が上から転がってきて隊員たちが危うく身をかわすと、岩がなぜか発泡スチロールのような軽さでバウンドして転がっていく、とか、隊員が突然「ぎゃー」と叫ぶと、さきほどまでは何もなかった山道で大量のタランチュラが現れて隊員の靴の上にはりつく、などのシーンがTVを見ている小学生達をわくわくさせ、大人達を苦笑させました。「やらせ」などという言葉は、粋じゃないです。大人の浪漫です。
そのオマージュで2000年代初頭に作られたのが「藤岡弘、探検隊」シリーズです。

双頭の巨大怪蛇ゴーグを追え!!

この探検隊シリーズでは、タイを舞台にした話がいくつかあります。
そのひとつについてみてみましょう。

当時のタイトルは『恐怖!双頭の巨大怪蛇ゴーグ!南部タイ秘境に蛇島カウングの魔神は実在した!!』です。
これは1982年放送のもので、タイ南部のある島では、“双頭の大蛇ゴーグ”の祟りで蛇が大量に発生し、村人が逃げ出して無人島になったという伝説があるので、それを探しに行く、というプロジェクトでした。

川口浩探検隊がその島に向かいます。
島の名前は「カウング島」だそうです。舟で近づいても周囲を断崖に囲まれているため、上陸ができないそうです。
ただし、年に1回だけ大潮の干潮時に下がった水面から島の内部へ続く洞窟が姿を現すそうで、その時だけ中に入ることができるのだそうです。
このシチュエーションの時点で、いかにも秘密の島みたいでワクワクさせます。

洞窟から中へ入り、島へ上陸します。
すると森の中に、朽ちかけた廃屋が。
現在(1982年ロケ当時)も、廃屋には大量のヘビがまきついており伝説で言われていたとおりでした。
この蛇たちを操るとされる親玉が、双頭の大蛇ゴーグなのです。きっといるはずだ、探しに行くしかない!しかし、森を進む探検隊に容赦なく大量の蛇が襲いかかってきます。

川口浩と探検隊は、そんな蛇を懸命に払いのけながら島の奥へ奥へと進んでいきます。
いつしか怪しげな洞窟に入っていく一行。たいまつを片手に進んでいくと、洞窟の中もヘビだらけで、突然上から落ちてきて隊員達を脅かします。まるで双頭の大蛇ゴーグが刺客を送り込んできているかのようです。

川口浩隊長が「ああっ!」と洞窟の上の方を指さします。
すると、岩の上に開いた穴からヘビが顔を出しています。
しかも蛇の頭は2つ! これは二匹の蛇が同時に穴から顔を出しているのではなく伝説の二つの頭をもつ大蛇「ゴーグ」に違いありません!!!
しかしカメラがゴーグの姿を捉えた次の瞬間、気配に気づいたゴーグは穴の中に姿を消してしまいました。川口浩隊長は「逃げられたか・・・」とつぶやきます。

・・・と、このような番組でした。

タイ人に川口浩探検隊の真実を聞いてみた結果

何人かのタイ人にこの話をして、「カウング島ってどこ?」「ゴーグって聞いたことある?」と聞いてみました。しかし、皆、「知らない」というのです。
カウング島をグーグルマップでも探してみましたが、それらしい島は出てきません。
やはり完全にフィクションだったのか?島に見せかけて、ただの山道に蛇を放して撮影しただけだったのか?

ところが、日本語が上手で日本人のタイ語の発音の癖をよく知っている人が、「もしかすると、カウングじゃないですよ。」と教えてくれたのです。

じつは、この島はやらせでもなんでもなく、本当にタイに実在する島でした。
タイ南部のプーケット島も近いアンダマン海にある小さな無人島だそうです。

ヘビが多いのも事実で、島中にヘビがいるそうです。「川口浩探検隊」で伝えられたように、元々村落があって人が住んでいたのですが、ヘビが多いこと、あまりに不便なこともあり、全員が移住したのだそうです。
実は、「カウング島」というのは、タイ語で、
เกาะ【kɔ̀】ゴー(島)+งู【ŋuu】ングー(蛇)、つまり“蛇の島”という意味で、現地の人がタイ語で“ゴー・ウングー”と通称で呼んでいるのをTVの取材班には「カウング島」と聞こえてそのまま訳したようなのです。TV局が、でっちあげた架空の島ではなかったのです。

そして、伝説の二つの頭を持つ「ゴーグ」についてですが、タイでは元々、「ナーク」という蛇の神様が信じられていて、頭は二股どころか7つもあるのです。
そういえば、たしかにタイの寺でこの蛇の像を見たことがありました。

日本語に詳しいタイ人によれば、この「ナーク」を「ゴーグ」と聞き違えたか、もしくは、タイのアルファベットである「コーガイ」に「ング」という文字があって、これは蛇を表すงูと同じなので、「コー」+「ング」(タイ語でアルファベットの文字を説明する際“蛇のング”という言い方をする)を「ゴーグ」と勘違いしたのでは、という見解でした。

これはあくまでも仮説ですが、こう考えると、腑には落ちます。
とにかく、伝説の双頭の蛇ゴーグと川口浩探検隊は、“ウソ”ではなかったのです!!(勘違いかどうかは、別問題です。)
タイに滞在しているおかげで、少年の日のワクワクした自分に、よい答え合わせができました。

タイで放送した日本のお笑い番組・加トちゃんケンちゃんやたけし城も

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