
ソンクラン・タイ正月が始まりました。
水かけ祭りとして有名ですが、この季節は外を歩くと冷たい水をかけられて困るし、そもそも周りの店や飲み屋は休業しているので、何をすることもできず、ただ家にいるしかありません。
半裸の男女が路上で水浸しになるのが今ののソンクランですが、そもそもなぜ水をかけるのでしょうか。
ソンクランは仏歴における正月(中国系の旧正月とは別物)です。仏像やお坊さんの手に水をひしゃくで静かにかけてお清めをする、というのが古来より行われてきた水かけのもともとの意味でした。昔はお寺に参拝に行って、自分に水をかけてもらったり、仏像にかけたりしていたわけです。
清めるという意味があるので、現在でも水をかけられた側は「清めてくれてありがとう」と感じるという風習で、拒否したり怒ってはいけないのです。これは1950年代の様子です。やかんで水を静かにかけています。
このように当初は全然エロティックな人はもちろん、過激に水をかける人もいません。
それが1960年代頃から、仏像を載せたトラックが街中を移動するようになり、その仏像に対して人々が水をかけるようになります。そのうち、道を進むバイクなどに沿道の人がバケツで水をかけるようになり、“水かけ合戦”の原型ができ始めます。
これは1967年の様子です。
1980年代には水鉄砲が登場し、路上の人々がお互いに水を盛大にかけあう風習が生まれました。
それがエスカレートして、路上でドラム缶に入れた水を販売する業者が、水に氷を入れるようになったり、行き違う相手の顔に、日焼け止め効果がある白い泥状の薬草を塗りたくるという習慣もできて、現在のカオスの状況になったのです。
この水かけ祭りは、タイだけでなく、カンボジア、ラオス、ミャンマーでも行われます。また、中国や台湾の東南アジア系の少数民族居住エリアでも行われています。
これがカンボジア、
そしてラオスのソンクランの様子です。
これらの国もタイと同じ上座部仏教なので、もともと同じ正月文化なのですが、水鉄砲で遊ぶというのはタイスタイルが伝わったと思われます。
水かけの会場は?
バンコクの主な水かけ会場は、シーロム、カオサン、サイアムなどです。特に特にシーロムは有名で、コロナ前まではBTSサラデーン駅付近のシーロム通りが歩行者天国になって、そこをびっしり埋め尽くした人々が水をかけあうという状況でした。コロナでの水かけ禁止時期を挟んで2023年に再開し、2024年には歩行者天国も復活しました。
2025年ソンクラン・シーロム会場は4月13日(日)から15日(火)で、午後1時から21時までシーロム通りが歩行者天国になり、そこで水かけ祭りが行われます。近接するタニヤ通りやパッポン通り、ルンピニ公園ではライブイベントや出店も行われます。
近年は過激になってきていて、ビキニ姿やすけすけの女性も珍しくないです。コロナ直前のころは興奮のあまり全裸になる男女が現れたりして、さすがに警察に取り締まられていました。
水かけ祭りはカオサン通りでも行われ、サイアムや川沿いのアイコンサイアムなどでは、音楽イベントが行われます。
今年はどうなるでしょうか。
どうせ、食事で外を歩いただけで水を浴びせられるなら、“参戦”して水鉄砲で道行く半裸のタイっ娘に放水しまくるというのもよいかもしれません。
水かけ合戦への参加の注意点
水かけに初めて参加される方への注意点は、以下の通りです。
・服装は濡れてもよい格好、海水パンツにアロハシャツなどがおすすめ。
・路上でビニール製で首からぶら下げられる携帯電話入れが売られているので、それに交通費など少額の現金と携帯電話などを入れる。財布はずぶぬれになるのとスリがいる可能性があるのでもっていかない方がよいです。
・小さいタオルなどを、濡れないようにビニールに入れて持参すると、ずぶぬれになった後に便利です。
・水鉄砲やゴーグルなどは現地で売っています。
・会場内の人には水をかけても大丈夫ですが、交通整理の警官や、コンビニなど店の中へ向かって放水するのはNGです。
・過去に水にぬれたタイル状の路面で転んで骨折した日本人もいます。ビルのエントランスは特に滑りやすいので気を付けて下さい。
・シーロムやカオサンなどはタクシーは拾えなく、ずぶぬれなので乗車拒否されるので、MRTやBTSでの移動となります。ただし濡れた体でエアコン最大の電車内はとても寒いのでタオル持参をお勧めします。
シーロム会場