今年の日本は猛暑だそうです。夏といえば怪談話ですが、タイの怪談はどのようなものなのでしょうか。北部にランプーン県という県があります。ここの古い名門公立校出身という20代女性がネット掲示板で語った学校の怪談があります。日本の怪談とは違うところがあっておもしろいので一部を要約してご紹介しましょう。写真はイメージです。
私が2年前に卒業した学校の話をします。古い学校で創立から90年以上経つ学校です。私はこの学校でよく奇妙な現象を体験しました。
中学時代は5号館という校舎を使っていました。2Fトイレは不思議なことが起きました。一人でこのトイレに入ると、水が勝手に流れる音がよく聞こえました。
誰も触っていないドアが開いていたり、物が腐ったようなにおいはみんな体験していました。・・・他の6号館の2階トイレでは、昔、妊娠した一人の女生徒が流産して、赤ちゃんが出てきてしまったそうです。その女生徒は赤ちゃんの死体をゴミ箱に捨てていて、用務員のおばさんが見つけたそうです。
その事件があったあと、そのトイレでは、小さい子供の笑い声を聞いた人がよくいました。
・・・タイでもトイレは怪奇スポットなのですね。日本と共通している部分です。しかし少し違う部分は、タイの怪談話では「腐敗臭」「くさい」という現象がよく語られるのです。
タイの妖怪として有名な「ピー・ガス」は女の生首にむき出しの内蔵がぶらさがる姿です。赤ちゃんの死体の話といい、タイの心霊話は嗅覚とグロテスク感に訴えてくるようです。続きを聞きましょう。
学校には旧校舎があります。中1のとき仏教の授業で使いました。担当の先生は翌年に定年退職したので、私たちの代がこの校舎を使った最後の学年です。今はこの教室は閉鎖されています。
教室には資料棚があって、古い時代の刀や道具などが並んでいました。マネキンに着せた、昔の人の衣装もありました。棚の前面にはガラスがありましたけど、後ろに回ると中に手を入れることができる状態でした。
先生は「絶対に資料には触ってはいけない」と言っていました。
ある日、クラスメートで一人やんちゃな子が、先生がいないときに、棚に手を入れて資料を触ってしまったんです。みんなぞっとして離れましたけど、彼は笑って物をつかんで歩いて見せたりしました。
次の日から彼は学校を休みました。原因不明の病気になったそうです。後できくと毎晩不思議な夢を見たそうで、見たことがない人が出てきて怒った顔をしていたり、背の高い人が剣を振りかざして襲ってくる悪夢だったそうです。
お坊さんがお祓いして治ったんですけど、みんなは話題に触れることも避けていました。
学校の呪いの物、という怪談の定番のひとつです。日本でいうと理科室の人体模型とか音楽室のベートーベンの絵が襲ってくるホラー映画みたいです。
興味深いのはタイでは理科室や音楽室ではなく「仏教の授業」の教室に“呪いの物”があるということです。仏教の授業なのに、古い刀や衣装が並ぶ教室とはまるで魔女の部屋みたいです。タイではビルの敷地の一角に祠があって皆が拝んでいますが、そういった土着の信仰が仏教と混在しているというのが、怪談でも表れているようで興味深いです。
高校のアカデミックデーが近づいてくると毎日、みんなで作業をします。各クラスのリーダーたちは学校に遅くまで残っていました。
私も作業していたけどトイレに行きたくなりました。夜だったのでトランスジェンダーの友人についてきてもらいました。
廊下は暗くて前が見えにくかったです。すると、壁際に人が座り込んでいました。長袖で顔を隠し裸足で、女子か男子かはわかりません。
最初、他のクラスの人の悪ふざけと思ったんですけど、もうみんな帰宅していて、残っていたのは私のクラスだけだったのを、トイレで思い出したんです。じゃ、あれは誰?
私は外で待つ友達に電話をかけました。私と同じものを見た?と聞こうとしたけど、電話に出ません。私は廊下へ戻っていきました。すると友達は無言で暗闇の方を向いていました。彼女も何かを見ているようです。
私たちは後ずさりし、途中から悲鳴をあげて走りました。ドスンと音がして黒い影が追いかけてくるのが見えました。教室まで戻って友達は気を失いました。私たちの様子をみて皆はショックを受け、早く帰ろうと言いました。門が閉まっていたので、柵を乗り越えて出ました。
まあ、気のせい、ということでしょうが、アカデミックデー(文化祭)で遅くまで残って作業とか、クラスにトランスジェンダーの友達がいるとか、タイの学園生活の雰囲気がわかっておもしろいです。
以上が、タイの学校の怪談です。
日本とタイとで似ている部分、異なる部分がそれぞれあって興味深いです。今晩は飲みながらタイっ娘と怪談話で盛り上がってはいかがでしょう。