先日、タイとミャンマーの国境の町、ミャワディ(タイ側はメーソート)が少数民族の勢力によって陥落したというニュースがありました。タイとの重要な貿易拠点を失いミャンマーの内戦は政府軍がかなり不利になってきています。皆様はタイでミャンマー人を雇用したり、出会ったことはあるでしょうか?
ミャンマーの内戦についてと、タイでミャンマー人を雇用することや、カラオケなどの夜の店にはいるのか?などの話題についてみてみましょう。
ミャンマーの英雄”面田さん”とは?
ミャンマーはかつてはビルマという国名で、インドと並んでイギリスの植民地でした。
第二次大戦中に日本は、インド攻略のための足がかりにするため、ビルマで独立を目指すビルマ人の組織を作ります。
ビルマ人留学生に日本名をつけ偽装して日本に呼び寄せ、軍事訓練を行いました。リーダー格の青年に、「面田 紋次」と名乗った人がいました。
その後、日本軍はインパール作戦で失敗、ビルマ人から反乱も起こされ撤退します。
日本敗戦後、イギリスとの独立戦争を「面田 紋次」が主導し、独立を果たします。
この「面田 紋次」の本名はミャンマー独立の父、アウンサウン将軍です。彼の娘がアウンサン・スーチーさんです。アウンサン将軍は若くして暗殺されます。
その後、指導者となったのはネ・ウィンでした。彼も日本軍が育てた留学生の一人で日本名は明治維新の英雄からとった「高杉晋」でした。軍政+社会主義という奇妙な体制を作り鎖国をします。
1988年のクーデターで失脚しますが、彼が作った軍を中心とした国家体制は維持され、民主活動家や少数民族が逮捕や殺害されるという軍部独裁が続きました。
タイも歴史上軍政が何度もありましたが、ミャンマーの場合は独立以来、軍部が政治・経済のすべてを支配し、軍関係者だけが住むエリアを作り上げその出身者が政府要職や国家企業を独占するという身分制度のような体制です。だから、独裁体制が強固なのです。
2010年、鎖国では経済発展ができないため民主選挙が行われ、アウンサン・スーチーが主導する民主勢力が勝利しました。自由化が進み、この時期ミャンマーへ進出した日本企業も多いです。しかし、特権がどんどん剥奪されることに危機感を抱いた軍部が2021年にクーデターを起こし軍政が復活。民主化勢力やカレン族など少数民族勢力が決起し内戦が始まったのです。
タイで働くミャンマー人の実態
現在、タイには非合法も合わせると約300万人のミャンマー人移民・出稼ぎ労働者がいるそうです。
タイ人より圧倒的に安い賃金ですが、ミャンマーでは月収5000バーツ程度にしかならないため、タイで出稼ぎを希望するミャンマー人は多いのです。タイの日系企業でもミャンマー人を雇うことはできます。しかし特殊な手続きや、タイまでの旅費やビザ代すらもっていないため立て替えるなど準備が必要なため、ミャンマー人専門の人材派遣会社を使うしかありません。多額の手数料をとられるので結局、タイ人を雇用しているのとほぼ変わらないか割高の経費が発生します。
しかし、ミャンマー人は真面目で仕事のストレスに強い気質であり、日本企業と相性が良いと言われています。生産性もよくなるので雇用する企業も少なくないです。
ミャンマー人カラオケ嬢は?
一般的な仕事では、タイ人がやりたがらないハードな接客業や肉体労働などに従事しています。例えばバンコクの朝や夕方に、マンションの建設現場などにカラフルな色のトレーナーを着ている労働者の集団がトラックに乗って集まっていたりしますが、ミャンマー人が多いです。ただし、カラオケやバー、性風俗店などの夜の業界の場合は問題があります。そもそもタイの夜の娯楽産業では外国人の労働許可が下りないため、国境を挟んでタイ側のエリア出身のミャンマー系少数民族など、特殊なケースの場合のみです。そうした特殊な手続きをしたり当局への袖の下などを使って女の子を使うケースもないわけではないですが、リスクが高く割に合わないためあまり多くはありません。ミャンマー人ホステスがいたとしても、非合法な店か、タイ領内のミャンマー系という特殊なケースです。
日本人からするとタイ人と見分けがつきにくいので、知らないうちにミャンマー人と接している可能性はあります。今後ミャンマー内戦がどうなるのか、タイにも少なからず影響があるため注目したいです。