4月に入ってからタイ当局のコロナ規制が緩和されて、タイを訪れる外国人観光客やビジネス関係者が増えはじめています。こうした状況を見て、外国人を狙った窃盗・スリ犯も活動を活発化させ始めているようです。
在タイ日本大使館の発表によると3月に、ある日本人がバンコクのBTSアソーク駅からMRTスクンビット駅の間を移動中に、後ろ掛けにしていた肩掛けカバンのなかから、財布やパスポートを何者かに盗まれるという事件があったそうです。
皆さまも外出時はどうぞ、ご注意下さい。
落とし物を拾っただけで逮捕された事件
タイの法律は、適用の仕方が日本や欧米などの感覚とは違っていて、何気ない行動が犯罪扱いされることがあるので、気を付けたほうが良いという話があります。
コロナ前の2019年のこと、イギリスからタイへ観光に訪れた男性が、落ちていた携帯電話を届け出るために拾ったところ、窃盗とみなされて警察に逮捕されたという事件がありました。
クリス・ドットさん(当時29歳)は、イギリスからチェンマイ国際空港へ到着した直後、タクシー乗り場で携帯電話が置き去りにされていたのを発見しました。
辺りを見回して落とした人を探そうとしましたが見付からず、タイに着いたばかりであることもあり、宿泊先のゲストハウスに持っていって、そこでタイ人スタッフに警察に届けるなどの方法を相談しようと考えました。
ところが、その様子を監視カメラでみていて追跡した警察官により身柄を拘束され、無罪を主張しましたが聞いてもらえず拘置所へ送られてしまいました。イギリスの両親や友人らが、救済のための基金を設立して2万ポンド(約280万円)を集めて弁護士を雇い保釈金を払い、1週間ほどの拘置のあとで保釈されました。
その間にスマホの持ち主も出てきて「彼は盗んだのではなく、拾ってくれた」と事情を話したが警察は取り合ってくれず、裁判で起訴されてしまいます。保釈の状態では国外へ立ち去ることもできず、途方に暮れていましたが、なんとか1ヵ月の裁判の後で、刑罰を免除する判決が下され、弁護士からは「今すぐ出国すべき」と勧められてあわててタイを出国したそうです。
法律が厳しいわけは?
いや、物を拾ったらすぐに警察に届けない方が不注意だろう、という見方もできますが、タイでは、他人の物を別の場所へ移動させること自体が窃盗罪とみなされ、意図は関係ないそうです。だから警察署へ持参する途中だったとしても途中でその様子を見られると、窃盗扱いになるそうです。たぶん、過去の窃盗犯が犯行を見つけられたときに「落とし物を届ける途中だった」と言い訳するケースが多すぎたからこうなったのだろうと想像できます。
タイの窃盗罪は厳しく、有罪が確定してしまったら、3~5年の懲役刑と罰金6,000~1万バーツが科されることになります。
その場でタイ語で込み入った事情を上手に説明するのも難しいので、我々外国人は、届けるためであっても、落ちているものや忘れ物を下手に触らない方がよいでしょう。バンコクの路上で目の前を歩いている美人OLがハンカチを落としたのをみても、拾うと恋が始まるどころか、大変なことになるかもしれません。声をかけるだけで、拾ってあげるのは気をつけて行わないといけないです。
安全な思わぬ“拾い物”がみつかるのは、「アイーン」でのひとときだけかもしれません。今晩は、ダンディーな飲み方をして、可愛いタイっ娘をときめかせて、心を盗んでしまってください!