
来週2月14日はバレンタインデーです。日本のバレンタインデーといえば、女性が男性にチョコレートをあげるという風習がありますが、タイではまったく異なります。
そもそもバレンタインデーとは、古代ローマ帝国時代、祭りの時だけ若い男女が一緒にいられ、そのことが縁で結婚するというローカルな風習があったのですが、皇帝が戦場へ向かう兵士の士気が下がるとして禁止、これに反対したキリスト教の司祭バレンタインが処刑されたのがきっかけだという説があります。
のちにキリスト教圏でバレンタインを殉教者として称える記念日としてバレンタインデーができ、この日は家族でギフトやメッセージカードを贈りあうという習わしが生まれました。
この風習をもとにして日本においては菓子会社が“チョコレートを恋人に贈ろう”と販促のために作ったのがバレンタインデー=恋人の日、となったというのは有名な話ですね。ではタイではどうなのでしょうか。
タイのバレンタインデーのバラの意味
仏教国であるタイも、もともとはバレンタインデーは祝いませんでした。急に盛り上がるようになったのは2000年代以降のことと言われています。おそらく日本流の文化が伝わったものと思われますが、タイではさらにアレンジされて、まったく違ったものになっています。タイでは、男性が好きな女性やパートナーにバラの花などのプレゼントを贈り、愛を告白する日、ということになっていて、道の露店はバラの花だらけになります。バレンタインデーに入籍する夫婦も多いそうです。
贈るバラの花にはいくつかルールがあります。
まず、“義理チョコ”ならぬ“義理バラ”はありません。
バラの花を贈るのは本命の女性一人にだけです。複数人にばらまくとか、ただの知人・同僚なのにあげるとあらぬ誤解をされるので気を付けましょう。
また、基本は赤い色のバラの花だそうです。
タイ政府観光庁の広報によると次のような意味があるそうです。
赤いバラ=愛してる
白いバラ=純愛
黄色のバラ=友情
本数が1本=最初の恋(出会い)
本数が12本=「付き合ってください」
本数が108本=「結婚してください」
108というのが煩悩の数かよという感じで、本来はキリスト教の風習からきているイベントなのに仏教的な意味が混ざっていそうでおもしろいです。わざわざタイ政府観光庁が発表しているというところからも、タイでのバレンタインデーの盛り上がり度・重要性がわかる気がします。
バラの花以外のプレゼントは
プレゼントはバラの花が主流ですが、それ以外の物を贈ることも増えています。
2024年のデータでは以下の通りです(The1 Insights社調べ)
1位 バラの花
2位 クマのぬいぐるみ
3位 アクセサリー
4位 時計
5位 香水
6位 チョコレート
7位 口紅
8位 下着
9位 ハンドバック
10位 ワイン
クマのぬいぐるみは以前からよく贈られていたものであり、バラの花とセットで贈ることが多いです。日本風にチョコレートを贈るカップルもいるみたいですが、男性から女性に贈ります。
また、「下着」や「口紅」というのもずいぶんとなまなましいですね。
プレゼントにかける予算は、
500 ~ 1,000 バーツ:36%
1,000 ~ 3,000 バーツ:33%
3,000 バーツ以上:21%
だそうです。(同社調べ)
バラの花やチョコで済んでいるうちは1000バーツ以内でよいですが、上記のようにハンドバックとか時計などとなってくるとなかなか値がはりそうです。
多くのカップルはプレゼントを贈りつつ食事を共にするというのが一般的な過ごし方らしいです。だから14日にお誘いしても「予定があるので‥」というタイっ娘は脈なし・彼氏もちの可能性が高いということです。日本でいえばクリスマス・イブみたいな完全なカップルデーなのです。
しかも今年の14日は金曜日にあたるので、こじゃれたレストランやラブホテルは満室になるでしょう。例年、ホテルには年齢制限で入れない中高生カップルが建物の非常階段やビルの谷間の路地などで励んでいたりするので、警察が見回りをするそうです。
気になる飲み屋のタイっ娘に、バラの花はさすがに大げさになるので、ちょっとしたお菓子でも差し入れしつつ、
สุขสันต์วันวาเลนไทน์
スック・サン・ワン・バレンタイン
(バレンタインデー・おめでとう!)
ชอบคุณนะ
チョープ・クン・ナ
(君が好きだよ)
という言葉をかけてみてはどうでしょうか。