
6月も末となり、いつのまにか今年も1年の半分が過ぎようとしています。
上半期は、円安が続いたり、スズキが四輪車工場のタイからの撤退発表、待遇面で他の国の外資企業に人が流れていることもあり日系企業に人材が集まりにくくなってきていることなど、仕事によっては苦労や忙しさが増えている方もいるかと思います。
これまで以上に奮闘していると、職場のスタッフにも「お疲れさま」と言いたくなってくるかと思いますが、タイ語で「お疲れさまです」というのはどう言えばよいのでしょうか。
タイでは「お疲れ様」とは言わない
ご想像のとおり、「お疲れさまです」というあいさつはタイ語にはありません。日本特有の表現です。職場の人は常に何かで忙しかったり、気苦労が絶えないもの、という前提があって成り立つ言葉だと思われるので、仕事に対する価値観が日本と異なるタイでは、このようなフレーズをあいさつがわりに使うことはないのです。「お疲れ様です」と言うときのニュアンスごとに対応するタイ語を使うしかありません。
タイ語で「さようなら」の“お疲れです”は?
まず、疲れているかどうかは別にして単純に“さようなら”“失礼します”という意味で言うときの言い方です。
ขอตัวก่อนนะ コー・ツゥア・グオーン・ナ・カップ(男性は語尾にカップ、女性はカー)
と言います。
ขอ【khɔ̌ɔ】コー「~ください・~させてください」
ตัว【tua】ツゥア「身体」
ก่อน【kɔ̀ɔn】グオーン「~前に・先に」
นะ【na】ナ(語尾を和らげる表現)
という構造のフレーズで、直訳すると「(私の)体を先に行かせてください」ということで、つまり、「お先に失礼します。」という表現です。
職場で先に帰るときに使います。皆で話しているときに急用で中座するときなどにも言います。
日本で裁判中に楽器ケースに入ってプライベートジェットのツアーで逃亡した某人物の事件にちなんで、コー・ツゥアー・グオーン ”航(空機)ツアー・ゴーンお先に失礼!”という語呂合わせは、いかがでしょうか?
これに対して返事をする表現は
กลับบ้านดีๆนะ グラップ・バアア↗ン・ディー・ディー・ナ
(男性は語尾にカップ、女性はカー)
です。
กลับ【klàp】グラップ「帰る」「逆にする」
บ้าน【bâan】バアア↗ン「家」
ดีๆ【di dii】ディーディー(“良い”のくりかえし)「きちんと」
นะ【na】ナ(語尾を和らげる表現)
これは「お気をつけてお帰りください」というフレーズです。友人・恋人同士の会話でも、職場などフォーマルなときでも使えます。
特に職場でこれを上司がスタッフに言うと、“この人は従業員である私のことに気を遣ってくれている”という評価になるので、ぜひ言ってみてください。
相手をねぎらう「お疲れ」タイ語では?
では、本当に今日は忙しそうだったスタッフをねぎらう意味で「お疲れ様」とタイ語でいう場合はどうでしょうか?
พักผ่อน เยอะๆ パック・ポオオ↘ン・ユッゥユッウ・ナ
(男性は語尾にカップ、女性はカー)
と言います。
พักผ่อน 【phák phɔ̀ɔn】パック・ポオオ↘ン(休憩する)
เยอะๆ【yə́ yə́】ユッゥユッウ(たくさん)
นะ【na】ナ(語尾を和らげる表現)
という構造で、「たくさん休んでね」という意味です。
あるいは、
อย่า หักโหม นะ ヤアア↘・ハックホーム・ナ
という言い方もあります。
อย่า【yàa】ヤアア↘「~するな・しないで」
หักโหม【hàk hǒom】ハックホーム「無理をする」「度を超えて~する」
นะ【na】ナ(語尾を和らげる表現)
ということで「無理しないでよ!」という呼びかけです。
日本語だと「お疲れ様」は、“あなたが頑張っているのはわかっているよ”というニュアンスが暗に入っていて、挨拶&ねぎらいになっているわけですが、
タイ語の場合は「たくさん休んで」「無理するなよ」という言い方になり、“あなたが疲れているのはわかっている”ということについて、踏み込みが深くなっている点が特徴だと思います。良くも悪くも、相手を気遣っているということをストレートに表さないと相手に伝わらない、というのがタイの文化なのでしょう。ぜひ職場のタイ人スタッフに、あるいは0時の閉店まぎわまで一緒に飲んでいたカラオケスナック嬢に、タイ式バージョンの「今日は、お疲れ様!」を言ってみてください。