パタヤの南にあるサタヒップという場所にあるカラオケバーの女の子たちが、ホステスの誕生会でガールスカウトの制服を着た映像がネットにあげられて批判が集まった出来事がありました。警察は年8月23日にホステス全員を連行し、100バーツの罰金を科しました。
タイではスカウトの制服は特別なもの
なぜガールスカウトの格好をしただけで問題になるの?ということですが、タイにはスカウト法という法律があり、「許可を得ずスカウトの制服を着たり、スカウトのシンボルを表示すること」が禁じられているからです。
タイではボーイスカウト・ガールスカウトが小中学校で必修、高校でも選択必修科目です。週1日ある授業の日は、男子はカーキ色、女子は緑色の制服で登校し、野外活動の訓練を行います。元々はラーマ6世がタイへ導入したという由緒正しい歴史があり、タイ文部科学省のなかにスカウト局という部署があって全国の学校で行われる授業の監督を行っています。
格式高い活動の制服なので、関係ない人物が着用したり、ましてエッチな店で着るのは論外という扱いなのです。
タイの夜遊び街でJKコスプレがない理由
ゴーゴーバー街やカラオケ店など夜の繁華街には、いろいろなエロかわいいコスチュームを着た女の子たちがいます。チアリーダーやバニー、ミニスカポリス、季節によってはチャイナドレスやセクシーサンタなどのコスプレイベントもあり、タイのエッチな店の衣装にはなんでもジャンルがあり、女の子たちもコスプレが好きです。
ところが、女子高生・女子大生コスプレの店だけは絶対ない、ということにお気づきでしょうか?AKB48風とかセーラー服など日本の女学生の衣装であれば着ている娘はいますが、地元タイの女子高生や女子大生の制服姿の娘はありそうで、いません。
タイには制服法という法律があって、そうした制服の品位を下げてはいけないと定められているからなのです。また基本的には未成年の格好であるということも意味するので、ガールスカウトの制服と同じく、夜の店で着用するのはご法度なのです。女子大生の制服の場合は黒スカートに白ブラウスというシンプルな服装なので夜の嬢も似た服を着ている場合がありますが、よくみると本物とは違っています。
日本だと風俗店で女子高生イメクラなどがあって、制服で接客する店もあったりしますが、タイではありえないことなのです。
そうはいっても、水商売の若い娘のフェイスブックをみると、女子高生の制服姿で集まって飲んでいる写真があったりします。みんなで高校時代の制服などを着て「まだ似合うかな~」などとコメントを投稿していたりします。これは今回の事件のように、ある娘の誕生会パーティでコスプレをしているというケースであり、内輪で楽しんでいる場合なのです。
でもその格好で外を歩いていたらよく思わない厳しい人もいるので、今回のように通報さわぎになってしまったのです。
タイ人のメンタルにしみ込んでいる言葉とは
さいごに、タイ人なら心に響く言葉を紹介しましょう。
タイのスカウトでは、国王や仏教への忠誠、人を助けること、先輩スカウトに従うことを誓約し毎回の授業で口に出して確認します。タイ特有の目上の人へ従う体育会系のノリはこうして叩き込まれるのですが、そのときに教わる座右の銘が2つあります。
ทำดีที่สุด (タム・ディー・ティースット)というモットーです。
「最善を尽くす」という意味です。これは小学生のときの標語です。
ทำ【tham】~させる + ดี 【dii】 良い + ที่สุด 【thîi sùt】 最も
という構造のフレーズです。
もうひとつは
จงเตรียมพร้อม! (ジョン・トリアム・プローム)で
「準備万端にせよ!」というスローガンです。中学以上での目標です。
จง【coŋ】~しなさい+ เตรียม【triam】準備する+ พร้อม【phrɔ́ɔm】準備のできた
という構造です。
この言葉をタイ人は幼少期から知っているので口にすると思い出すはずです。もし皆さまの仕事のなかでタイ人スタッフとここ一番頑張りたい時や、だらけている空気を一新したい時、「タム・ディー・ティースット!」「ジョン・トリアム・プローム!」と言えば、日本風にいうと「気をつけ!」と言われたみたいに背筋がぴんと伸びるような感じになるかもしれません。