バンコクの南にあるチョンブリ県サタヒープのパブ「MOUNTAIN B(マウンテンB)」で、2022年8月5日に発生した火災では、8月19日現在、合計の死亡者は19人となり、現在は25人が治療中です。タイでは漏電などによる火事がよく起き、大きくなりやすいです。
タイで遊びに出かけた飲み屋やレストラン、ディスコなどで火事が起きたらどうすればよいのでしょうか。
日本の防災システム研究所の資料を基に、火災の際の避難方法をまとめてみました。
そして「千日デパート火災」とタイの火災の共通点から、生存者の行動をとりあげます。
火災の際の避難方法
・ハンカチなどを鼻と口に当てる(濡らしてはダメ!)
今はコロナなのでマスクです。飲み屋の場合は、おしぼりも使えます。煙の中の刺激物質を防ぐ目的なので、濡らす必要はないそうです。何もないときは服の袖で代用します。
・姿勢を低くし、壁伝いに避難。
煙は上に向かい、充満すると下へ沈んでくる動きをします。姿勢を低くし、壁伝いに避難します。上層階の場合、エレベーターは使わず階段で避難します。
・煙が充満したら隙間の空気を吸いながら避難
煙が床まで充満したら、壁と床の交わるところの角に、空気の層が残っているので顔をうずめながら移動します。階段でも同様です。この間も、タオルなどを鼻と口から外してはいけません。
・ドアノブや手すりは手の甲で確認
火災の熱で火傷する可能性があるのでドアノブや手すりをさわる際は、手の甲で確認してからさわるようにしましょう。
以上に加えて、タイ特有の事情を加味すると、以下の注意点があげられます。
・基本的には自分が来たところから逃げる
飲食店で席に着いたら、出口の方向を目視しておくという習慣をつけておくとよいかもしれません。
タイの場合、先日のチョンブリのパブや2009年エカマイのサンティカ火災でもそうでしたが、泥棒対策で非常口や通用門を封鎖している違法店が少なくありません。
自分が入ってきた入口ルートを覚えておきましょう。
ただし、タイの雑居ビルでよくあるのが、上の階の店舗はエレベーターでしか入れず、階段は封鎖しているというケースです。この場合、逃げるのはかなり困難です・・・。
タイの火災と似ている!「千日デパート火災」
1972年の大阪の「千日デパート火災」では3F改装現場から出火し、営業中だった7階のアルサロ(キャバレー)にいたお客やホステスが逃げられず、一酸化炭素中毒になったり墜落して死者118人・負傷者81人という大惨事となりました。
当時の日本の防災基準は低かったため、防火設備の不備、階段など出入口を一部封鎖していた、スタッフが誘導しなかったなど、タイの火災のパターンとよく似ているので、参考に生存者のケースを一部ご紹介しておきます。
・ある客は、まだ店内で誰も騒いでいない時点で、煙臭さに気づき、スタッフを振り切りレジにお金を投げて急いで店外へ。まだ動いていたエレベーターで避難成功。
・ある客は火災を知らず呼び込みのホステスと一緒にエレベーターで7Fへ到着。扉が開くと煙が入ってきたためあわてて閉めた。一人飛び乗ってきたホステスと計3名で1Fボタンを押す。降下中のシャフト内にも煙が入り、床に座り込み苦しみながら1Fへ到着。
・あるホステスは、ホールにいたが煙で苦しくなりトイレで嘔吐。水を飲んで気を落ち着け、体に水をかぶる。
照明が消えた暗闇のなかで、腰をかがめて目をつむり、手さぐりでハンカチで口を押さえながら壁伝いに進み、普段、健康のため使っていた従業員用の裏階段をめざす。
さいごは床を這って階段に出て煙に気をつけながら1階へ。
・バンドマンのグループは控室に立てこもり煙を防ぎつつ、窓ガラスを割って新鮮な空気を皆で交互に吸い、はしご車の到着を待ち救助。
・あるホステスは、7Fから降ろした防災袋が不具合で中をすべり降りることができなかったため、外側を両腕でつかみながら滑り降りる。激しい摩擦で両腕の皮がむけ血が噴き出るが気合で手を離さず、地上付近で脱落し、骨折で助かる。
・ある客は、7Fの窓からぶら下がっていたが力尽きて足から垂直落下。路上ではなくアーケードの屋根に落ち、大腿骨と腕の骨折で助かる。飛び降りた人々は、この人ともう1名を除く全員が死亡。
悲惨すぎます。参考に記憶の片隅に入れておくとタイでは役立つかもしれません・・・。
当店「アイーン」は防災設備完備の許可店で、日本人常駐・1Fにあるお店なので、ご安心下さい!