2021年も残りあとわずかです。年末年始はどのようにお過ごしになる予定でしょうか。
カウントダウンイベントを見に行くという人や、パタヤなど地方へ行くという人もいるかとは思いますが、コロナのオミクロン株も怖いのでバンコクでゆっくり過ごすという人も多いかとは思います。
タイの寺で初詣、というのもよいかもしれませんね。タイの寺にも鐘がありますが、大みそかの除夜の鐘というのはあるのでしょうか?
タイに除夜の鐘がない理由
タイには除夜の鐘の風習はありません。
そもそも、除夜の鐘というのは中国の宋の時代の寺で行われ日本に伝わったものだそうです。でも当時は大みそかに鐘を突くということではなく、禅寺では毎日鐘を突いていたそうです。町の人に時刻を知らせるためでした。これが大みそかの儀式になったのは、昭和初期のラジオ放送がきっかけでした。最初はNHKのスタジオで大みそかの午前0時に小さな鐘を鳴らしていただけだったそうです。これを数年続けたあと、ある年の大みそかの放送の際に東京・上野の寛永寺に頼んで鐘を鳴らしてもらったところ、これを聴いていた人たちの間で評判になり、全国の寺に広まったというのがきっかけらしいです。
今風に言えば、ただのテレビやユーチューバーが放送のためだけにやった企画みたいなもので、歴史あるものではなかったのです。煩悩の数の108回鐘を突く…というもの後から考えたことらしいです。日本独特のものなので、だからタイに除夜の鐘はないのです。
ではタイのお寺にある鐘はどういうときに鳴らすものなのでしょうか?
まず、昔の日本と同じで、町の人に時刻を知らせるためです。この時は寺のメインの鐘を鳴らします。
タイ語の時間の言い方を勉強したことがある方はご存知だと思いますがタイ語の時間の言い方は、ちょっと複雑で覚えにくいです。
タイ語で「午後7時」なのに「ヌン(1)・トゥム」と言う理由
タイ語での時間の言い方は、英語や日本語のように、数字+「時」というシンプルな法則ではなく、時間帯によって「時」の部分が変わってしまいます。たとえば、午後2時を「バーイ・ソン(2)モーン」と言い、午後6時までは「ตัวเลข(モーン)」を使うのですが、なぜか、午後7時以降は、午後7時が「ヌン(1)トゥム」、午後8時が「ソン(2)トゥム」・・・というように「ทุ่ม(トゥム)」を使います。しかも7時なのに「ヌン(1)」です。意味不明ですね。
これは、タイ人に聞くとちゃんと理由があるそうです。
昔のタイの寺では、昼は1時間ごとに鐘(銅鑼)を鳴らしていました。昼の1時から6時まで使う「モーン」は金属製の銅鑼を叩く音を表しているのです。
夜の時間帯は鐘だとうるさいので太鼓をたたいたそうです。夜の19時から23時まで使う「トゥム」は太鼓を叩いて出る低い音を表現しているのです。
確かに言われてみれば、銅鑼が「モーン」太鼓が「トゥム」、そういう音ですよね。
午後7時が「ヌン(1)トゥム」というのは、太鼓を叩く1回目だから「ヌン」なのです。
これが、時間帯によってタイ語の時間の言い方が極端に違っている理由なのです。
参拝者が鐘を鳴らすのは何のため
時間を知らせる時以外でも、鐘を鳴らすことがあります。寺の境内にある半鐘です。タイのお寺に行ったことがあれば見たことがあるかと思いますが、寺院にはこのように小さい鐘が並んでいるところがあります。これは参拝者が鐘を鳴らすと、天に向かって「私は徳を積んでいます」と伝えることができるとされています。置いてあるバチなどで一つずつ順番に叩いていく鳴らし方です。
寺では小さな鐘がお守りとして売られていたりもします。
「鐘なんてバービアでしか鳴らしたことがない」という夜遊び好きな人も、2021年の年末大みそかは、エカマイのカラオケスナック「アイーン」で、日本のTVの衛星放送の「いく年くる年」を観ながら、アイーン娘と一緒に除夜の鐘をしみじみ聴いてみては、どうでしょうか。