エカマイにあるホルモン焼・カラオケスナック「アイーン」です。第Ⅰ部18時~21時はホルモン焼き店として、第Ⅱ部21時以降は通常のスナックとして営業しています。
バンコクのホイクワンにある老舗MP(マッサージパーラー)の「エマニュエル」が4月末に閉店し売りに出されています。
販売価格はなんと6億4,500万バーツだそうです。しかもこれはあくまでも店の営業権と7階建ての建物の販売価格であり、建物が立っている土地は借地なので、入手後は地代を払っていかないといけません。
6億4500万バーツといえば約27億円です。
読売巨人軍が東京ドームに支払う年間使用料金と経費は計30億円ほどといわれており、日本の各自治体が導入している消防防災ヘリコプターは1機20億円ほどだそうです。
たった1店でそれほどの価値があるものなのでしょうか?「エマニュエル」の歴史と、タイのマッサージパーラーについてみてみましょう。
マッサージパーラーのプレイとは
マッサージパーラーとは、タイのソープランドです。
サービス内容としては、ひな壇に並ぶホステスから好みの娘を選ぶと、浴槽と簡易ベッドのある個室へ案内されます。
そこで飲食店としての建前のためウェイターが飲み物を持ってきます。その後、嬢が来てお湯をはるので入浴、洗ってもらいながら本番へ、というものです。
かつてのマッサージパーラーは未成年者だらけ?
1960年代にベトナム戦争のアメリカ兵を慰安する目的で作られたゴーゴーバーよりも歴史は古く、ペッブリー通りなどに早くも1950年代には登場していたそうです。
タイの地元のお客を中心に夜の娯楽の中心として賑わいました。
1990年代には、タイと、カンボジアやラオス、ミャンマーとの国境沿いにある性風俗施設の売春婦の大部分を外国人女性が占めるようになり、店によってはタイ女性が全くいない店もあったそうです。90年代末頃はタイ北部のミャンマーとの国境であるメーサイからタイへ入国し、マッサージパーラーへ来る未成年者の数が増加し、当時横行していた少女売春の温床のひとつとなりました。当時の国外や少数民族エリア出身MP嬢の60% 以上が 18 歳未満だったそうです。
タイの風俗王とは
マッサージパーラー「エマニュエル」の創業がいつだったのかは不明ですが、少なくとも1990年代には営業をしていました。既に2003年にはアメリカの情報サイトで「タイで一番の人気の店」と紹介されています。当時のオーナーは実業家チュウイット・ガモンウィシット氏でした。チュウィット氏は、エマニュエルの他にビクトリアシークレット、コパカバーナ、ホノルルといった店をいくつももちデービスグループというグループを作り上げました。
大成功したチュウィット氏はタイの「風俗王」と呼ばれるようになりました。
プロンポン駅前にあるスクンビット・ソイ24をずっと進み、ラマ4通りと交わる直前に「デービス バンコク」という個性的な見た目のホテルがあります。これはチュウィット氏の所有ホテルです。
もとは、チュウィット氏が新たなマッサージパーラーとして建てた建物でした。しかし当時のバンコク都知事が許可を出さなかったため、改装してホテルにしたのでした。
この体験のためチュウィット氏は、政治家を志します。チュウィット氏は所有店を売却、豊富な政治資金で活動を始めます。出馬したバンコク都知事選では当選しませんでしたが、下院議員を務めて異色の反骨政治家として名を馳せました。
現在は63歳になり、ガン闘病中です。
その後の「エマニュエル」
2016年、タイの夜遊び業界に激震が走ります。
有名MP店「ナタリー」などが未成年者を使っていたということで、摘発・関係者が逮捕される事件が起きました。つい15年ほど前まで未成年者も少なくなかった業界でしたが、時代は変わっていました。当時は夜の業界の治安に厳格だった軍政時代でした。
この余波で「エマニュエル」も一時閉鎖。
当時は、バンコクで一番のマッサージパーラーと言われていた「シャンゼリゼ」という店を運営する会社が所有していました。「シャンゼリゼ」はその後「アムステルダム」と改名します。
この店はギャル系で派手な見た目の娘が多い特徴があり、系列となった「エマニュエル」の娘もそうした傾向になったそうです。
しかし、2020年のコロナのため営業ができなくなり、多くの店が閉店に追い込まれます。
元々、嬢の質やお客の口コミ、当局の治安方針に左右される商売である夜の娯楽業界では、グループ店や大きな店舗の店は、良いときは良いのですが、巨額の地代や家賃、電気水道代、人件費がかかるため、リスクや守りに弱い傾向があります。
「エマニュエル」もコロナ後に客足が戻らず、2024年4月初旬にサービスを終了・閉店となってしまいました。
これから買い手は現れるのでしょうか?それとも買い手が現れず別の施設になってしまうのでしょうか?
個人的には事務的な流れ作業のようなプレイ内容になりがちなMPにはカラオケやゴーゴーバーに比べて魅力は感じないのですが、「エマニュエル」の今後で、タイの夜の業界やポストコロナのタイ景気を占えそうです。