今年2024年の春節(旧正月)は来週2月10日です。昨年からコロナの規制も終わり、バンコクの中華街ヤワラートなどでは、旧正月の飾りつけが復活しています。
カラオケやスナックでもチャイナ服コスプレ週間になり、深いスリットから生脚を出した娘もいて楽しいです。今回はチャイナドレスのタイっ娘を観ながら、タイの華僑のなかでも特殊な国民党系タイ人についての話をご紹介しましょう。お団子ヘアーがかわいいですね。
なぜタイで盛大に春節イベントが行われるのかというと華僑系タイ人がいるからです。
歴史上、中国からの移民はアユタヤ王朝時代にもいましたが、現在の華僑系タイ人の多くは、18世紀のトンブリー王朝時代に潮州から来た移民がルーツです。商業などで成功しタイ社会で一大勢力になり、問題も起こるようになります。
20世紀初頭、ラーマ6世は中国系移民の同化政策をとります。以降は華僑系タイ人の子孫は、中国語を話さなくなり文化もタイ化していき春節を祝うくらいになっていきました。
混血も進んだので特に自分が中国系であるということを意識している人は他国の華僑に比べて多くありません。自分はタイ人であるというアイデンティティを持つ人がほとんどです。
しかし、別のルーツをもつグループもいます。それが国民党系(台湾系)タイ人です。
第二次大戦後、中国では蒋介石の国民党と毛沢東率いる共産党が内戦をしていましたが、国民党軍は敗北を続け、1950年には中国本土の拠点をすべて奪われ、台湾へ逃れます。
このとき、中国の内陸部にいた国民党軍の部隊は孤立してしまい、雲南から山を越えてミャンマー、さらに南下しタイ北部のチェンライの山岳地帯に逃れます。
当時タイ政府軍はゲリラ活動を行うタイ共産党と戦闘をしており、国民党軍はその支援を行ったため1970年、チェンライの山のエリアでの居住を認められ、タイ国籍を獲得します。
しかし稲作ができない山岳地帯のため、アヘンの栽培が行われます。これがゴールデントライアングルと呼ばれる麻薬生産地帯となります。
その後タイ王室のロイヤルプロジェクトで、アヘンの代わりの農業としてコーヒー豆の栽培が進められ、現在ではタイのコーヒー農家が多い村となりました。
彼らの村は比較的近年にタイに来た中国移民の村なので、今でも村には漢字の看板や中国風の建物が並びます。しかし今の中国の繁体字ではなく旧字体漢字を使っているため、日本人にも読める文字が多いです。
この人たちは同じ国民党の系譜である台湾に親近感がある人々です。タイではこれらの人々を、国民党にちなんで「コクミンタン」と呼んでいます。
華僑系タイ人といっても色々な人々がいるのです。
今年は中国系のEV自動車メーカー数社がタイで工場を稼働予定です。中国・台湾の存在はタイにどう新しい影響を与えていくのでしょうか。