ソンクラン直前、タイの徴兵検査がありました。くじ引きがあり色によって、陸軍、海軍、空軍、あるいは兵役免除を示しており、兵役免除以外のくじを引いた若者は2年間の兵役が待っています。
毎年話題になるのが、ニューハーフやオカマちゃんのかわいい「男の娘」たちです。戸籍上は男性なので身体検査を受ける必要があります。「不合格」となり兵役免除の証明書をもって記念撮影するのが風物詩です。今年話題になったのがこの人です。アイドル級にかわいい、と評判になりましたが、戸籍上は男性です。
Ranchana SaekamさんのFacebookページより引用
さてクイズです。A～Hの8名の人物が出てきます。このなかで2名だけが生まれたときからの女性です。どの娘が天然の女性でしょうか。天然女性は兵役免除証明書とは違うものを持っています。さいごに答を出しますので当ててみてください。
どの娘が天然女性？クイズ
一人目は女子大生の制服姿のこの娘です。どうでしょうか？
タイの軍隊はどんな歴史があるのでしょうか。実際は強いのかについてみてみましょう。
タイでの徴兵は1905年から始まりました。名君チュラロンコン大王（ラーマ５世）の時代です。タイ軍のシステムは当時、日露戦争に勝利した日本軍の制度を参考にして作られたそうです。
タイ軍 VS フランス植民地軍
1932年、立憲革命が起きて絶対王政が終わり、陸軍出身のピブーンが首相となり中央集権的な政治体制を敷きます。
ラオス、カンボジア、べトナム三国のインドシナはフランスの植民地でした。フランスはタイの領土も奪っていたので、ピブーン首相は返還を要求、フランスは拒否しました。しかし第二次大戦で日本軍がインドシナに進駐したのをみて、1940年にタイ軍はフランス植民地軍への攻撃を開始。
アメリカ製の爆撃機を持つタイ空軍がフランス植民地軍の基地を破壊、続いてタイ陸軍がカンボジアのバッタンバン付近まで侵攻し、本国からの補給が難しいフランスは苦戦します。タイ海軍は旗艦が撃沈されるなどで、フランス艦隊が優勢でした。結局1941年に日本の調停で終戦、タイ側の領土要求が大きく採用され、事実上のタイの勝利となりました。祝って建てられたのがバンコクの戦勝記念塔です。
タイ軍 VS 日本軍 → VS 連合国
1941年12月8日、米英に宣戦布告をした日本軍が突然タイに上陸してきます。イギリス領のマレーシア、シンガポール、ミャンマーの攻略の拠点にするためでした。タイ軍は防衛戦を開始しますが政府の判断で、日本の同盟国となることを選択、日本軍がタイに駐留することになります。このためバンコクは連合国側のイギリス軍の空襲を受けます。当時のバンコクは王宮やチャイナタウンの周辺が中心でしたが空爆を避けて疎開した人たちが作った新しい市街地が現在のスクンビット通りです。日本の敗戦寸前にタイは日本との同盟を解消、敗戦国となるのを辛うじて避けました。
タイ軍 VS 北ベトナム・解放戦線
戦後、陸軍出身者の軍事政権が続く中、タイは1960年代にベトナム戦争でアメリカを支援、在タイ米軍基地の建設も許可します。米軍の物資補給・兵士の休暇レジャーのためパタヤなどの歓楽街が整備され、タイは経済発展をしていきます。タイ軍も派兵されて南ベトナムに加勢し北ベトナム軍・解放戦線軍と交戦しました。また、宣戦布告していないため秘密裡ではあるが、ラオスの内戦にも介入しており、北ベトナムに支援されているパテトラオ（ラオス共産軍）と戦っています。
タイ軍 VS ラオス軍
しかしベトナム戦争は北ベトナムの勝利となり米軍は撤退します。隣国ラオス、カンボジアでも革命勢力が勝利したため、タイは周辺を、かつて敵対した勢力が権力を握った共産国に囲まれるピンチを迎えました。
80年代にはメコン川周辺でラオスと国境紛争が起きます。1984年、タイ軍が奇襲攻撃でラオス側の村を占拠。タイはラオスの約10倍の人口がおりGDPは約20倍で国力は圧倒していますが、長年内戦を続けてきたラオス軍は実戦経験が豊富なため、占領された村を奪還、タイ空軍の戦闘機が撃墜されるなど反撃されます。にらみ合いが続いたのち停戦しました。
タイ軍 VS カンボジア軍
2008年、カンボジアが、タイとの国境地帯にあるプレアヴィヒア寺院遺跡を世界遺産に登録しました。カンボジアを植民地にしていたフランスが国境を強引に定めたため、カンボジア領の断崖の上の遺跡ではあるが入るための道路があるエリアはタイ領、という複雑な立地でした。長い間、ポルポト派が基地にし周囲に地雷を敷設して立てこもっていたため双方の実効支配が及びませんでしたが、1998年にポルポト派最後の部隊がここで投降、カンボジア政府軍がおさえてからタイとの国境紛争が再燃、世界遺産登録をきっかけに両軍が衝突、数十人の死傷者が出ました。
国際司法裁判所の仲裁で両軍は撤退、現在は国際的にカンボジア領と認定されています。
クイズの回答・天然の女性は？
以上がタイ軍の主な実戦経験の歴史です。タイは平和そうに見えますが実は、第二次大戦後も周辺国とひととおり交戦しているのです。現在も東南アジア諸国は協調しつつ対抗意識もあるという関係のようです。
さて、タイの男の娘たちの見極めはどうでしたか？気になる結果発表です。
Ａ～Ｈのうち生まれながらの女性は・・・
ＣちゃんとＦちゃんです。
実際に彼女らが持っていたのは徴兵免除証明書ではなく、このようなものでした。
見分けることはできましたでしょうか？
男の娘たちの“女性”としての戦闘能力はずいぶん高そうです。
